けらけらむしざっき

雑記。いかに楽に、幸せに生きるか。

『BEASTERS』の紹介

‪今日紹介するのはこちら!‬

 

‪『BEASTERS』‬

 

‪漫画が原作でアニメ化もしている作品。‬
‪内容は、動物たちのヒューマンドラマだ!って誰かが言っていたような気がする。
単行本の帯とかだったか。

 

......え?動物たちのヒューマンドラマ??
どういうこと?‬

そう、動物はヒューマンじゃないから(ヒューマンは動物だけど)、
この表現はちょっとおかしい。

でも、この表現がいわんとしていることはよくわかる。

ほら、ヒューマンドラマって、人間関係とかが主題になっていたりするときに
使われることが多い表現じゃない?

『BEASTERS』も、それと似たように、動物同士の関係がかなり丁寧に描かれてるのね。
ん?動物同士の関係?そう、BEASTERSの主人公は多種多様な動物たち。

その動物たちが、動物たちの学校を舞台に、
人間みたいにドラマを繰り広げていく。

 

ここで「人間みたいに」と言ったけれど、しかし動物ならではの物語でもある。

BEASTERSの世界は、草食動物も肉食動物も意識をもって話すことができる世界。
そして、草食動物と肉食動物が共存・共栄している世界。

だからこそ、肉食動物が動物の肉を食べるのは禁忌とされているのね。

その結果、共存していく中で草食vs肉食の対立があったり、
あるいは肉食(草食)であるがゆえの葛藤があったり。

これの何が面白いって、この対立、あるいは差別であったり葛藤っていうのが、
直接的には自分とあんまり関わりがないところ。

普通のヒューマンドラマでは、自分という立場を引きずらずに見ることがどうしても難しい。

どういうことかっていうと、やっぱり対立が描かれているときには
自分に近い方の肩をついついもって見てしまったり、
逆に(自分のバイアスに気付いているがゆえに)遠い方の肩をもとうとしてしまったりする。

もちろんそれはそれで、色々なことを考える機会になってとてもよいこと。
一方で、たまにはBEASTERSを見るときのように、
自分と全く関係がないゆえにバイアスをさほど持ち込まずに見るっていうのも
これまた色々考える機会になってよい。

例えば、会社の上司と部下の権力関係を見るより、草食と肉食の権力関係を見る方が、
権力というものをバイアスを極力廃して考えるためにはよいのかもしれない。
(嫌な上司が現実にいれば、部下の立場についつい身を置いてしまうでしょう)

 

また、バイアスを極力持たずに見れるというだけでなく、自身のバイアスに気づける、
というのもよいポイント。

例えば、この物語の登場人物はすべて人間以外の動物だから、その美醜は正直あまりよくわからない。
だからこそ、「この動物は美くしい容姿の動物として描かれていたのだ」、
ということを理解するためにちょっと時間がかかったりする。

そうすると、気づくまでの間、「美しいから」という勝手な理由づけが行われないことによって
ちょっとした違和感(なぜこんなことになるんだ?)を感じたりする。

これは、普通の漫画を読むときには自分自身も気づかぬうちに補正して理由づけている部分だ。

こういうバイアスに気づけるというのもよい点だろう。

 

と、ここまでメジャーではないかもしれない楽しみ方の話をしてしまったが、
それはさておいてもストーリーが面白い。
動物たちの葛藤、対立、成長。

まさに、「ヒューマンドラマ」である。

 

色々なことを考えながら(何が正しいんだ?とか)、
いや、別に考えなくてもいいけれど、片隅に置きながら見ると楽しいかもしれない。